海外在住者のリモートワーク|日本円を稼いだら税金はどうなるの?
海外でリモートワークをしたい方にとって、税金は気になるテーマですよね。
実際に私は海外でリモートワークをしており、日本円で収入を得ているうちの一人です。
というのも、今の仕事(Webサイト運営)を始めて半年。日本円を稼ぎ始めてから、そもそも税金はどうなるのか、どこに払うのか色々と不安になってきました。
日本に住んで稼ぐ場合は、会社が事前に税金の調整をしてくれたり、自分で確定申告したりすればいいことは明白ですが……
海外在住でしかも日本円で稼ぐとなると、さすがに謎ですよね。
国税庁のHPを見るも、言葉が難しくてわからない……
調べても「どういうこと?これ、私も当てはまってるの?」とさらに謎が増えるばかり。
そこで今回は、海外でリモートワークをしたい方に向けて「稼いだ日本円の税金はどうなるのか」を紹介します。
はじめに:この記事でわかるのは一般的な税金の話
待って!税金のことなら税理士に相談した方がいいんじゃない?
と思った方もいるでしょう。その通りです。
正直な話、この記事で紹介する内容は税理士などの専門家ほど詳しくはありませんし、最初から税理士に相談すれば解決することでもあります。
しかし、相談しようにも
・どの税理士に相談すればいいのか?
・まだそんなに稼ぎもないのに相談していいのか?
など悩む方もいると思います。まさに私もその一人。
そんな海外在住者のために、当記事ではリモートワークの「税金の基礎知識」をまとめました。
これからリモートワークをするかもしれない方、副業やフリーランスとして海外で在宅ワークをしたい方はぜひ参考にしてください。
リモートワークで稼いだ日本円に税金はかかる?
海外でリモートワークをしたい方が気になるのは、稼いだ日本円の税金ですよね。
結論からお伝えしますと、海外に住んでいようと日本国内で得た収入は日本の課税対象になります。
しかし、複雑なのは「あなたの条件によってかかる税金や支払う国が変わる点」です。
【重要】日本の居住者か非居住者か
税金のことを考える上で避けて通れないのは「あなたが居住者か非居住者か」です。
居住者と非居住者の区別は以下の通り。
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
居住者と非居住者の区分 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htmNo.2875
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
言葉が難しくて「何が何だか分からない!」という方も多いと思いますので、分かりやすく解説すると……
生活の拠点が日本にあるならば「居住者」、海外にあるならば「非居住者」です。
非居住者にかかる税金は国内源泉所得のみ
海外に生活拠点がある非居住者は、日本国内で発生した収入(国内源泉所得)のみ税金がかかります。
国内源泉所得とは、日本にある家を誰かに貸して得た収入や日本の株式を持っていて受け取った配当金などです。
「日本で発生した収入なんだから、日本に税金を納めてね」ってことですね。
日本に住んでいる居住者なら日本に税金を納めるのは明白ですが、海外にいる非居住者でも、国内源泉所得がある方は日本に税金を納める必要があります。
では、肝心のリモートワークは国内源泉所得にあたるのでしょうか?次項にて紹介します。
リモートワークは国内源泉所得にあたる
リモートワークそのものは、非居住者の課税対象「国内源泉所得」のうちの1つ、「恒久(こうきゅう)的施設帰属所得」に当たります。
恒久的施設とは、日本国内にある事務所や作業場などのこと。
しかし、リモートワークでも恒久的施設帰属所得に当てはまらないケースもあります。
それは、リモートワークのみの収入で日本に事務所等がない方です。
リモートワークを海外の自宅でしている場合、稼いだ日本円は恒久的施設帰属所得になりませんので、税金は住んでいる国に納めます。
じゃあ私は住んでいる国に税金を納めればいいんだね!
と安心するのも束の間。なぜなら、住んでいる国によって恒久的施設の定義が変わる場合があるからです。
租税条約によって恒久的施設の定義が変わる場合あり
海外在住者の税金を考える上で大切なのが、租税条約です。
租税条約とは、2重課税や脱税などを防ぐための決まりで、日本と海外諸国とで結ばれています。
チェックポイントは、租税条約の「恒久的施設の定義」です。
というのも、前述した日本の恒久的施設と租税条約の恒久的施設が違う場合は、租税条約上の恒久的施設が対象になるからです。
ややこしいわ……
難しいことは置いといて、恒久的施設の定義が違う場合があるから「租税条約を確認してね」というお話し。
例えば、ドイツと日本間の租税条約の場合。
1 この協定の適用上、「恒久的施設」とは、事業を行う一定の場所であっ て企業がその事業の全部又は一部を行っているものをいう。
所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のた
2 「恒久的施設」には、特に、次のものを含む。
(a) 事業の管理の場所(b) 支店(c) 事務所(d) 工場(e) 作業場(f) 鉱山、石油又は天然ガスの坑井、採石場その他天然資源を採取する場所
めの日本国とドイツ連邦共和国との間の協定
ドイツの租税条約の場合は「租税条約の恒久的施設=日本国内の恒久的施設」なので、日本円の収入がリモートワークのみの方はドイツに納めることになります。
ただし、これはあくまでも一例です。
住んでいる国の租税条約によって恒久的施設の定義が変わる場合もあるので、一度、目を通しておきましょう。
租税条約はこちら↓
海外在住者が日本で確定申告をする方法
日本に税金を納める必要がある場合、真っ先に考えるのがどうやって日本の確定申告をするか……だと思います。
確定申告といえば、ネットでできる『e-tax(イータックス)』ですよね。
しかし、e-tax(イータックス)が使えるのは、海外在住者でも日本に住民票を残している人のみとなります。
なぜなら、住民票を抜くとe-tax(イータックス)を使う時に必要な「電子証明書」が使えなくなるからです。
えっ!住民票残してないよ!
という方もいるでしょう。
住民票を残してない方は、確定申告時期(2月・3月)に日本に帰国して直接税務署に行く方法があります。
帰国が難しいという方は、今すぐ納税管理人を選定しておきましょう。
納税管理人とは、非居住者に代わって確定申告の作成・提出や納税の手続きをしてくれる人のこと。
日本の居住者であれば誰でも「納税管理人」になれます。家族でも友人でもOKです。
ただし、申告書類の作成をする場合は、税理士にお願いすることをオススメします。
納税管理人がきちんと納税してくれないと、ペナルティがあるからです。
ペナルティ | 発生条件 | 金額 |
---|---|---|
無申告加算税 | 期限までに申告書を提出しなかった場合 | 納付すべき税額の5〜20% 参考:国税庁「確定申告を忘れたとき」 |
延滞税 | 期限までに納税しなかった場合 | 納付すべき金額に対して2.4〜14.6% 参考:国税庁「延滞税について」 |
過少申告加算税 | 本来より少ない金額で申告していた場合 | 追加で納める金額の5〜15% 参考:国税庁「確定申告を間違えたとき」 |
確定申告書の作成や税務相談は税理士の独占業務なので、税理士にお願いしておくと間違いがありません。
確定申告や納税の手続きをしっかりしてくれるので、海外でも安心して生活できますよ。
申告書の作成が難しい方や節税などの相談をしたい方は、税理士に頼みましょう。
納税管理人をお願いできる税理士の探し方
どうやって納税管理人になってくれる税理士を探したらいいの?
という方は、税理士紹介サービスがオススメです。
自分で一から探して連絡する方法もありますが、どうしても手間がかかってしまいます。
その手間を省いてくれるのが税理士紹介サービスです。
でも、紹介サービスを使うと、直接お願いするより高くなるのでは?
実は紹介サービスを使っても料金は変わりません。自分で直接お願いする場合と同じ料金で依頼できます。
また、自分で一から税理士を探す、連絡するといった手間も省けて一石二鳥です。
自分の身を守るためにも専門家に相談しよう
海外在住者の税金についてまとめましたが、今回紹介した内容は、あくまでも一般的なお話です。
税金は個人の状況によって変わるので、最終的には税理士に相談した方が確実です。
おすすめの税理士紹介サービスは「税理士ドットコム」です。
税理士ドットコムは無料で納税管理人に対応してくれる税理士を紹介してくれます。
ネットで問い合わせできるので、住んでいるところを気にする必要はありません。
- 税金で損したくない
- 税理士が必要か相談したい
- 海外でも安心して生活したい
といった方は、自分にマッチした税理士を紹介してもらうところから始めましょう。
リモートワークをしたい方はこちら↓